EpicのAIアシスタントEmmie、Rushの請求問い合わせを58%削減
EpicのAIアシスタント「Emmie」は、患者ポータルMyChartに組み込まれた患者向けの機能で、ラッシュ大学医療センターでは請求関連の問い合わせメッセージを継続的に58%減らしたと、Epicが2026年3月10日にHIMSS26で明らかにしました。オクスナー・ヘルスでは、患者がEmmieを使って1万4900件を超える予約を変更しています。医療機関にとって、この事例は患者向けアシスタントが最初に成果を出す場所を示しています。本来ならコールセンターやスタッフの受信箱に届く、定型の請求と予約の依頼です。
定型の患者の依頼が医療機関のスタッフを圧迫する理由
問題は量です。患者は請求や予約について単純な質問を絶えず送ってきて、スタッフはそのひとつひとつにメッセージや電話で答えます。EpicはEmmieを、こうした質問に患者がすぐ答えを得られ、医療機関の業務量を減らす手段として売り込んでいます。予約は従来のやり方のコストをよく表しています。オクスナー・ヘルスが自動テキストシステムで理解できる返信の幅を広げる前は、テキストで確定した予約は43%にとどまっていました。
EpicがMyChartに組み込んだ患者向けの機能
Emmieは、Epicの患者ポータルMyChartに組み込まれたAIアシスタントです。Epicは8月のユーザー会議UGMで、患者の受診予約と準備を手伝うツールとしてこれを発表しました。Epicによると、Emmieは患者の質問に答え、カルテから情報を取り出し、患者に代わって手続きを行います。機能には、テキストでの予約と予約変更、MyChartでの請求の質問、診療記録から作るリマインダー、画像検査の結果や処置の報告書をわかりやすい言葉にまとめる要約などがあります。
患者は日々アシスタントをどう使うのか
仕事の大半はふつうの会話で進みます。患者はEmmieにテキストを送って予約や予約変更をし、時間を確定できます。電話もポータルへのログインも必要ありません。MyChartでは、請求について質問し、支払いをし、今後の受診を確認し、詳しい請求書を作り、分割払いの選択肢を調べることができます。オクスナーはテキストの窓口を、Emmieの一部であるEpicの「SMSチケット予約向け会話型AI」で運用しています。サッター・ヘルスは、患者の健康に関する質問に診療記録を踏まえて答える会話型アシスタント「Ask Emmie」を最初に稼働させた組織になり、Epicは3月の時点で最初の利用者グループに公開していると説明しました。
RushとOchsnerで測定された結果
数字はEpicとその顧客によるものです。ラッシュ大学医療センターでは、Emmieによって請求関連の問い合わせメッセージが継続的に58%減りました。オクスナー・ヘルスでは、患者がEmmieで1万4900件を超える予約を変更し、スタッフの時間を750時間近く節約したと、Fierce HealthcareがEpicのHIMSS26での説明をもとに報じました。Epic自身の製品ページでは、同じ結果を予約1万4900件、750時間の節約として掲載しています。
EpicShareに載ったオクスナーの別の事例が詳細を補っています。システムが理解できるテキストの返信の種類を増やしたことで、オクスナーは予約の確定率を43%から52%へ、21%引き上げました。同医療機関は、七か月間でコールセンターの時間を500時間以上節約したと推計しています。この数字はオクスナーの推計で、監査を受けた数字ではありません。
AIによる予約対応が患者サービスのチームにもたらす変化
医療機関にとっての価値は、定型の仕事から取り戻せるスタッフの時間です。Emmieが請求の質問にひとつ答えるたびにスタッフの対応待ちのメッセージがひとつ減り、予約の変更がひとつ済むたびに電話が1本減ります。EpicShareのオクスナーの記事では、予約変更の電話が減ったこともテキストの窓口の成果としています。成果を生んでいるのは、記録のなかに明確な答えがある、範囲が狭く件数の多い仕事であって、自由な医療相談ではありません。
Emmieは、いま成果の数字とともに報告されるEpicのツールのひとつです。同社によると、Epicの顧客の85%以上がEpic AIを使っています。Summit Healthでは、レベニューサイクル向けツール「Penny」が薬の事前承認の申請にかかる時間を42%短くし、Pennyが作成した回答の92%が修正なしで採用されています。
EpicがAIエージェントで次に向かう先
Epicは、決まった機能から、医療機関が自ら作るエージェントへと軸足を移しています。HIMSS26では、AIエージェントを作成し監視するための基盤「Agent Factory」を発表しました。医療機関は視覚的な作成ツールでエージェントをカスタマイズし、自施設の方針やナレッジベースを持たせ、自分たちの予定で展開できるようになります。Epicはさらに、Emmieと臨床医向けアシスタント「Art」が、患者と臨床医の質問から一緒に作る受診の議題も計画しています。Epicでデータ・研究担当の副社長を務めるフィル・リンデマン氏は、1月のJPモルガン・ヘルスケア・カンファレンスでこの変化を次のように表現しました。
「AIは本当の成果を示し始めています」 フィル・リンデマン氏、Epic(JPモルガン・ヘルスケア・カンファレンスにて)
よくある質問
EpicのEmmieとは何ですか
Emmieは、Epicの患者ポータルMyChartに組み込まれたAIアシスタントです。患者の質問に答え、カルテから情報を取り出し、請求の質問や支払いを扱い、患者がテキストで予約や予約変更をできるようにします。
EmmieはOchsner Healthでどれだけのスタッフの時間を節約しましたか
Epicによると、1万4900件を超える予約変更で、スタッフの時間を750時間近く節約しました。別の事例では、オクスナーはテキストでの予約確定のシステムが七か月間でコールセンターの時間を500時間以上節約したと推計しています。
患者はMyChartにログインせずにEmmieを使えますか
予約についてはできます。患者は電話もポータルへのログインもせずに、テキストメッセージで受診の予約、変更、確定ができます。請求の質問と支払いはMyChartのなかで行います。
MOZGIIの視点
私たちならこう作ります
Emmieのようなアシスタントには、二種類のデータが必要になるでしょう。患者の請求口座と、すべての診療科の予約ルールです。私たちなら請求の質問から始めるでしょう。答えはすでに口座のなかにあり、間違った答えは見つけやすく、直しやすいからです。予約は二番目になります。空き枠は担当医、受診の種類、患者の保険によって変わるからです。
お金や医療の中身が変わる場面では、必ず人が関わるようにするでしょう。アシスタントには請求書の説明や分割払いの選択肢の提示を任せますが、異議の申し立ては会話の全文を添えて請求の担当者に回します。健康に関する質問にも同じルールを当てはめます。アシスタントは記録をもとに答え、症状や治療に関わることは看護師に引き継ぎます。
このシステムが崩れるのは、患者がシステムの理解できない書き方をしたときです。オクスナーで予約の確定が増えたのは、テキストシステムが受け付ける返信の幅を広げたからで、本当の仕事がどこにあるかを示しています。私たちなら、アシスタントが処理できなかったメッセージを毎週見直し、まずその言い回しを覚えさせるでしょう。
注目する指標はひとつ、スタッフが関わらずに終わった会話の割合で、数日後に同じ件で再び連絡があったかどうかと照らし合わせます。患者が代わりに電話をかけているだけなら、メッセージが減っても意味はほとんどありません。次の段階では請求と予約をつなぎ、受診を予約した患者がその費用の見込みも分かるようにするでしょう。
出典
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